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食事

 倉敷という場所は干拓が行われ浅海が土地に変わった江戸時代から、水運を活かした物流の拠点として栄えてきました。当時は海の向こうから瀬戸内海を経由して運ばれてきた物資が、港町であった倉敷を通じて、大阪や上方へ運ばれていったとされています。倉敷という街の名前はこの頃に物資を保管する蔵屋敷が多く並んだことから、「倉敷地」と呼ばれ、今の「倉敷」という名に変わりました。それほどこの街には多くの人やモノが行き交い、その交流が街の文化的側面を豊かにし、今もなお残る数多くの文化施設が創設された倉敷という場所の土壌を耕したのかもしれません。

 人とモノが海と陸を行き交いする交差点として発展してきた倉敷の場所性を、食体験で表現すべく、撚る屋では瀬戸内海で採れる海の幸から、陸に上がり倉敷周辺で育つ山の幸、地の幸など、近くで採れる様々な食材を使用します。その旬な食材の滋味を引き出すべく、季節を単に暦上の四季で捉えるのではなく、その時々の季節の移ろいに合わせ、二十四節季・七十二候の節目で調理方法を決め、この地でしか味わえない料理を目指します。

 倉敷地域のあらゆる食材を楽しんでいただくべく、撚る屋でのご夕食はコースのみのご案内となります。また、お席はカウンター席のみのご用意となっております。お越しの皆さま方が繋がり、食を介してこの土地への想いをより深めていただけるような空間を目指しております。東町町内会長の中村さんとお話をしていた時に、「我々はあの頃の人たちの未来を生きている」と仰ってくださった事を鮮明に覚えています。倉敷には代々受け継がれてきた想いが沁みこんでおり、その倉敷に恥じないよう我々も想いを注いでいきたいと思います。そして我々の今が過去となり、後の人たちの今になってゆくことを願って。