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食事

「撚る屋」では、季節を単に暦上の四季で捉えるのではなく、日本の繊細な季節の移ろいを感じ取り、その細やかな変化に合わせた食材や調理法で、倉敷の地域文化を表現する日本料理を目指しております。

 倉敷は、水運を活かした物流の拠点として栄えてきた歴史があり、江戸時代には瀬戸内海を経由して運ばれてきた物資が、倉敷を通じて京都や大阪へ運ばれました。そのように物の行き来が盛んな物流の拠点として栄えてきた倉敷は、現代における食材の観点からもさまざまな素材が交わる拠点と言えます。その日に水揚げされた瀬戸内の魚介や、岡山の土壌が育む野菜や牛肉など、海の幸から山の幸、地の幸まで、近郊で育つ多種多様で新鮮な食材が手に入ります。こうした土地の成り立ちや文化に想いを馳せ、倉敷の風土を感じていただけるような日本料理を追求しています。

 瀬戸内海は穏やかな気候と温暖な海流に恵まれ、一年を通じて魚介類が豊富に獲れます。また、島が多い複雑な海岸線と多様な海底環境も相まって、さまざまな魚介が生息しています。「晴れの国」として知られる岡山は温暖な気候で、安定した日照時間と適切な降水量により、野菜の栽培にも適しています。有機物を豊富に含んだ土壌も、季節によってさまざまな野菜が手に入るこの地域の食文化を支えています。
 また、倉敷の食文化には、海や山の幸に加え、牛肉文化も非常に特徴的で、この文化は江戸時代に津山藩で肉食が例外的に奨励されていた歴史に根ざしており、今もその伝統が受け継がれています。

 これらの近郊で育つ旬の食材が持つ滋味を引き出すべく、撚る屋では独自の配合で調味料を作っております。醤油や出汁など時節に合わせて味を調合するものから、塩や酢、ポン酢など一年を通して使用するものまで、基本的な調味料は全て手作りでご用意しています。また、その日その日に取る出汁は、細かな季節の節目に合わせ、その時に最も美味しくお召し上がりいただけるように味を調節しています。

 撚る屋では倉敷を中心とした地域のあらゆる食材を楽しんでいただけるよう、夕食はコース料理のみのご案内となります。また、お席はカウンター席のみとなり、お客さまとの会話を通じて味の微調整を行い、それぞれの嗜好に合わせた料理を提案いたします。カウンターだからこそできる撚る屋での食体験を介して、倉敷への興味や想いを深めていただけるような空間を目指しております。